廃校モールとは
ネットイヤーグループ株式会社と宇和島市、そして、地域住民の窓口として非営利法人である一般社団法人ソーシャルデザイン・ラボが共創して推進している「廃校モール」プロジェクトがついに本格的に始動した。このプロジェクトの特徴は、一見するとビジネスチャンスなどなさそうな過疎地域の廃校施設に、首都圏を中心に活動する民間企業が資金、人材、ノウハウを投入し、過疎地域に新たな市場自体を創出する「市場創造型イノベーション」による地域創生の実現を目指していることだ。
市場創造型イノベーションの実現で重要な3つのポイント
圧倒的なスピード感で過疎地域に足場を築く
過疎地域を無消費と捉えて幾つかの地域をターゲットとして準備を進めていた中で、最初の候補に選んだのが、愛媛県宇和島市にある旧石応小学校だった。縁あって、たまたま宇和島市を訪問したのが2022年9月下旬だった。プロジェクトの可能性を強く感じてくださった、宇和島市長、副市長のサポートもあり、3ヶ月足らずで廃校と企業版ふるさと納税を活用した地域経済活性化における包括連携協定の締結に至った。
その後、2ヶ月余りで地域住民との共創関係を築き上げ、2023年3月には宇和島市から地域として廃校を借り受ける承認を得ることができた。この短期間で地域住民の理解と協力を得ることができたのは、郵便局のネットワークが持つ地域との協力な信頼関係のおかげだった。日本郵政グループは宇和島市と包括連携協定を締結しており、地域の郵便局長が地域住民とのコミュニケーションの窓口を買って出てくれた。
コスト構造変革のために企業版ふるさと納税を活用
過疎地域をターゲットとして、廃校モールプロジェクトを推進するための初期体制は整った。市場創造型イノベーションに欠かせない次の一手はコスト構造変革である。廃校のリノベーションに莫大な投資を行えば、その投資を回収するために廃校に実装するビジネスのサービス価格に転嫁する必要が出てしまう。そこで活用したのが企業版ふるさと納税である。
2024年までの時限立法だが、圧倒的な税制優遇があり、地域創生に関心の高い企業にとっては支援しやすい制度だ。宇和島市と協力し「地域イノベーションセンター事業」として企業からの寄付を募ることとなり、第91回宇和島市議会定例会にて2023年7月3日に決議された。すでに予定している廃校モールの第1期工事に必要な金額の寄付の申し出を受けているが、施設の運営や第2期工事以降の予算がまだまだ不足しており、我々の活動に関心のある方々の支援をお願いしたい。
デジタル技術は我々の得意技
グローバルスタンダードなオープンソースを徹底的に活用した、安価で高機能なプラットフォームの実装を目指す。特にコミュニティーマーケティングとWeb3技術、特にブロックチェーンベースの地域通貨とNFTによる廃校モール経済圏の創出と、DAOによる新しい地域民主主義の社会実装に挑戦する。
夢は膨らむばかりだが、まずは明日から廃校の大掃除とグラウンドの草刈りが待っている・・・